重症筋無力症(公費対象)について

臨床調査個人票のダウンロードや各種制度等については、難病情報センターのHPをご覧ください。
難病情報センター – Japan Intractable Diseases Information Center (nanbyou.or.jp)

1. 「重症筋無力症」とはどのような病気ですか

末梢神経と筋肉の接ぎ目(神経筋接合部)において、脳の命令によって神経側から遊離される神経伝達物質(アセチルコリン)の筋肉側の受け皿(アセチルコリン受容体)が自己抗体により攻撃される自己免疫疾患です。全身の筋力低下、易疲労性を特徴として、特に眼瞼下垂、複視などの眼の症状をおこしやすいことが特徴です(眼の症状だけの場合は眼筋型、全身の症状があるものを全身型とよんでいます)。嚥下が上手く出来なくなる場合もあります。重症化すると呼吸筋の麻痺をおこすこともあります。

2. この病気の原因はわかっているのですか

神経筋接合部の筋肉側に存在するアセチルコリン受容体が患者自身の体内で作られる自己抗体によって障害を受け、神経の命令が筋肉に十分伝わらなくなるために起こる病気です。

3. この病気ではどのような症状がおきますか

特に眼瞼下垂、複視などの眼の症状がでやすいことが特徴です。一方、発語や嚥下障害などの症状が目立つ患者さんもいます。症状が強くなると全身の筋力低下、易疲労性が現れます。上肢の挙上や立ち上がりが筋力低下のため困難になってきます。さらに悪化した場合は呼吸がつらくなる場合もあります。

4. この病気にはどのような治療法がありますか

発症年齢、重症度、胸腺異常の有無により治療法が分かれます。対症療法として、コリンエステラーゼ阻害薬が使用されますが、根治的には免疫療法が必要です。それには、ステロイド薬投与、免疫抑制薬投与、血液浄化療法などがあります。免疫抑制薬は通常ステロイド薬と併用されます。胸腺異常には過形成(胸腺組織が大きくなること)と胸腺腫があります。胸腺腫が見つかった場合は、早期に摘除術を受ける必要があり、生命予後を左右する一つの要因です。

5. この病気は日常生活でどのような注意が必要ですか

ステロイド薬や免疫抑制薬を服用中であっても、大量投与中でなければ、健常人と何ら変わることの無い生活を送ることが出来ます。注意する点として次の点が上げられます。1)ステロイド薬などの免疫抑制薬を服用中の場合は、予防接種として生ワクチンを接種することは出来ません。インフルエンザなどの不活化ワクチンの接種は支障ありません。2)妊娠ならびに授乳において、胎児や乳児に好ましくない影響を与える治療薬があります。これらの点については、主治医に良く相談してください。


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