ゴナドトロピン分泌異常症について

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難病情報センター – Japan Intractable Diseases Information Center (nanbyou.or.jp)

1. ゴナドトロピン分泌異常症とは

ゴナドトロピンとよばれる黄体化ホルモン(LH, Luteinizing Hormone)と卵胞刺激ホルモン(FSH, Follicle-stimulating Hormone)の二つのホルモンは、下垂体前葉の同一細胞より分泌されます。ゴナドトロピンの生合成や放出は、視床下部において産生され下垂体門脈を介して下垂体に作用するゴナドトロピン分泌刺激ホルモン(LHRH)によって調節されています。性発育に伴ってゴナドトロピンの分泌は増加し、加齢に伴って低下します。

女性では性周期に伴って変化します。 ゴナドトロピン分泌異常症は、視床下部や下垂体の障害により、同年齢の正常人に比較して、ゴナドトロピンが過剰に分泌されたり(分泌過剰症)、欠乏したり(分泌欠乏症)する病気です。

2. この病気の原因はわかっているのですか

視床下部を侵す病変には器質性と機能性の病変があります。
器質疾患の代表は頭蓋咽頭腫と鞍上部胚芽細胞腫です。その他に最近は交通外傷が増加する傾向にあります。特発性のものでは周産期の視床下部障害が多く、骨盤位分娩や新生児仮死などの関係が注目されています。分娩を契機として母親に視床下部病変を生じることがあります。

家族性LHRH単独欠損症は遺伝性のものと考えられます。
機能性視床下部病変としては、ストレス、過度の運動、高度のやせや肥満を伴う栄養状態の変化、急激な環境変化、精神神経機能の変化などが知られています。

慢性消耗性疾患に二次的に生じることもあります。下垂体を侵す主要な病変は、下垂体腫瘍、炎症、細胞浸潤、出血、壊死、転移性腫瘍、自己免疫などです。女性では分娩時の大量出血によるシーハン症候群が有名です。 ゴナドトロピン(LH, FSH)分泌過剰症の代表は中枢性性早熟症(思春期早発症)です。奇形腫による絨毛性ゴナドトロピン (hCG) 産生、過誤腫によるLH-RH産生、胚芽腫や神経膠腫による思春期発現抑制機構の障害などが性早熟症に原因です。

水頭症、脳炎、髄膜炎などの非腫瘍性中枢神経疾患においても性早熟が生じます。基礎疾患のない特発性の症例もあります。成人では下垂体や視床下部に存在する腫瘍において産生されるゴナドトロピン (LH、FSH、hCG)やLH-RHによりゴナドトロピン分泌過剰症が生じます。

3. この病気ではどのような症状がおきますか

ゴナドトロピン分泌低下に伴う特徴的な症状は、無月経、性欲低下、インポテンス、不妊、陰毛・腋毛の脱落、性器萎縮、乳房萎縮、二次性徴の欠如です。

ゴナドトロピンの分泌過剰症の男児では9歳以前に、女児では7歳以前に二次性徴が発現します。思春期の徴候が出現すると、身長増加が促進され正常児より高身長を示します。下垂体腫瘍が存在すると頭痛、嘔気、視野障害などを生じることがあります。下垂体腺腫に伴う局所症状や下垂体機能低下症状を示すことがあります。


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