副腎白質ジストロフィーについて

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難病情報センター – Japan Intractable Diseases Information Center (nanbyou.or.jp)

1. 副腎白質ジストロフィーとは

中枢神経系(脳や脊髄)において脱髄(神経線維を覆っている髄鞘と呼ばれるさやの部分[電線に例えれば銅線が神経でその被覆の部分]の崩壊が起こる病態)や神経細胞の変性を主体とし、かつ、腎臓の上にありホルモンを産生している副腎という臓器の機能不全も伴う疾患です。男性におこる遺伝病のひとつです。中枢神経系白質、副腎皮質、血清、白血球、赤血球など全身の組織において極長鎖脂肪酸と呼ばれる脂肪酸の増加を認めます。

2. この病気の原因はわかっているのですか

X染色体(男性では1つ、女性では2つ持っています)に存在するALD遺伝子の異常によりおこる遺伝病の一つです。原因となる遺伝子のつくるタンパク質はALDPと呼ばれています。これは細胞内にあるぺルオキシソームという細胞内の小器官の膜に存在するタンパク質です。ぺルオキシソームへの物質の移送に関わっていると考えられていますがどのようなものを移送しているかはわかっていません。また、このタンパク質の異常がどのように病態へつながるのかはまだよくわかっていません。

3. この病気は遺伝するのですか

ヒトは、母親、父親から23本の染色体を受け継ぎ、常染色体、性染色体について2組の染色体を持っています。この仕組みにより、たとえ片方の遺伝子に異常があっても、もう片方の遺伝子が正常に機能してその機能を補うことにより、通常は深刻な症状を起こさないようにできています。このように、その遺伝子の一つの異常だけでは症状は示しませんが、両方とも異常であった場合には重篤な症状を示すものを劣性遺伝子といいます。このような劣性遺伝子の異常は誰でも持っています。通常は一人あたり15~20個は持っていると推定されています。たまたま両親から引き継いだ遺伝子が両方とも異常であった場合、この遺伝子がうまく働かないために病気になります。このような形で発症する病気を劣性遺伝病といいます。

副腎白質ジストロフィー症では原因となる遺伝子が性を決める染色体(X染色体)上に存在します。男性は通常X染色体は一つしか持ちません(女性は2個)そのためX染色体上に異常遺伝子がある場合、補助するもう片方のX染色体がないので、男性は女性に比して発症しやすくなります。このような遺伝形式をX連鎖性劣性遺伝形式といいます。遺伝子異常をもつ女性を保因者といいます。女性保因者は健常なX染色体と病因遺伝子のあるX染色体の2つをもっており、どちらか一方が子供に伝えられるので1/2の確率で子供に遺伝します。ただし発症するのは子供が男児の場合であり、女児である場合は1/2の確率で保因者となります。一方発症した男性からその方の男の子に遺伝子が伝わることはありません。一方女児は100%保因者となります。保因者の方が男のお子さんを出産された際は、本症について詳しい医師に相談されることをお勧めします。ALD遺伝子の異常を有する男児の場合、3歳までに発症することはほとんどありません。しかし、それ以降は発症の可能性が出てきますので、定期的な医療機関での精密検査をお勧めします。


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