全身性エリテマトーデスについて
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難病情報センター – Japan Intractable Diseases Information Center (nanbyou.or.jp)
1. 全身性エリテマトーデスとは
病気が全身のさまざま な場所に、多彩な症状を引き起こします。発熱、全身倦怠感などの炎症を思わせる症状と、関節、皮膚、内臓などのさまざまな症状が一度に、あるいは次々に起こってきます。
2. この病気の原因はわかっているのですか
病気の患者さんの95%以上が、血液中に、 抗核抗体という抗体をもっています。自分自身の細胞のなかにある核と反応してしまう抗体です。この抗体が、自分の細胞の核と反応し、免疫複合体という物質 を作って、全身の皮膚、関節、血管、腎臓などにたまって病気が引き起こされると考えられています。このほか、免疫を司るリンパ球も直接、自分の細胞、組織 を攻撃すると考えられています。
3. この病気ではどのような症状がおきますか
一般的に、全身症状、皮膚関節症状がほとんどの患者さんに見られます。これに、さまざまな内臓、血管の病気(一人一人異なる)が加わります。この内臓の症状が全くない軽症のタイプもあります。
【全身症状】
発熱、全身倦怠感、易疲労感など
【関節症状】
手や指が腫れて、痛む関節炎を起こします。肘、膝などの大きな関節に、日によって場所が変わる移動性の関節炎が見られることもあります。
【皮膚症状】
もっとも有名なのは、頬に出来る赤い発疹で、蝶が羽を広げている形をしているので、蝶型紅斑と呼ばれています (図1)。 皮膚をさわると、一つ一つが丸い発疹が、重なりあい、少し盛り上がっているのが特徴です。同じ、頬に出来るものにも、盛り上がりのない、ハケで薄紅色の絵 の具をぬったような紅斑も見られます。また、一つ一つが丸く、ディスク状(レコード盤)のディスコイド疹も、この病気に特徴的で、顔面、耳、首のまわりな どに好発します。
【日光感敏症】
強い紫外線にあたった後に、皮膚に赤い発疹、水膨れ、あるいは熱が出る人がいます。このような症状は、日光過敏症といい、この病 気でよく見られます。この症状が、病気の始まりであることも少なくありません。しかし、この病気以外にも、日光過敏症を起こす病気がいくつかありますの で、それらとの区別が必要です。
【口内炎】
多くは、口の奥、頬にあたる部位や上顎側に出来る粘膜面がへこんだもので、痛みが無く自分で気付かないことがしばしばです。痛みを伴うベーチェット病の口内炎と対照的です。
【脱毛】
朝起きたときに、枕にこれまでなかったほどたくさん髪の毛がつくようになります。また、円形脱毛のように、部分的に髪の毛が抜けたり、全体の髪の量が減ったりすることもあります。また、髪が痛みやすく、髪の毛が途中から折れてしまう人もいます。
【臓器障害】
様々なものが知られています。すべての症状が起こるわけではなく、一人一人によって、出てくる症状、障害される臓器の数が違います(全く臓器障害のない、軽症のひともいます)。
4. この病気にはどのような治療法がありますか
副腎皮質ステロイド剤
自分自身に対する免疫を抑えるため、免疫抑制効果のあるくすりを使います。なかでも、副腎皮質ステロイド剤は、特効薬として知ら れています。病気の重症度によって、その薬の量が違います。この薬剤は、副腎皮質という場所から出ているホルモンを、化学的に作ったもので、代表的なもの はプレドニゾロンです。一日5mg相当のホルモンが体内から出ていますので、5mgのプレドニゾロンを飲むということは、自分自身が毎日作っている量と同 じ量を補うことになります。一般的に、重症のかたでは、一日50~60mgを必要としますし、逆に軽症の人では15mg程度で十分のこともあります。最初 2週間から一ヵ月この量を続け、徐々に減らして10mg前後を長期に飲み続けます。 免疫抑制剤 副腎皮質ステロイド剤が、効果不十分か、副作用が強い場合に、免疫抑制剤を使うことがあります。アザチオプリン(イムランな ど)、サイクロプォスプァミド(エンドキサンなど)、タクロリムス(プログラフ)、ミゾリビン(ブレジニン)、サイクロスポリンA (サンヂュミン)など です。 ステロイドパルス療法 副腎皮質ステロイドを、点滴で大量に使用する方法です。口から飲むより、より早く、かつ効果も高いとされており、重症度のかなり高いかたに使われます。一般的には、三日間の使用ですので、この間副作用も比較的少ないとされています。その後は口からの服用に切り替えます。 体外循環療法 血液中の病気を引き起こしている免疫複合体やリンパ球を、体の外に取り出してこれをフィルターを使って取り除く治療法です。ステロイドや免疫抑制剤がどうしても使用できない、あるいは効果が不十分な場合に使われます。 抗凝固療法 血栓を作りやすい抗リン脂質抗体症候群を合併しているひとでは、小児用バッファリン、ワーファリンなどによって、血栓の予防が行われます。 支持療法、対症療法 腎不全のときの透析療法など、その病状に合わせて治療が行われます。また、血行障害の強いひとでは、血管拡張剤などが使われます。
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